この記事について
- Cisco 機器の CLI のモードの種類
- 設定変更を行う際の流れ
- 状態確認コマンドの基礎知識
Cisco 機器の CLI のモードの種類
Cisco 機器の CLI にはいくつかのモードがあり、モードによって実行できるコマンドが異なります。
以下の表にモードの一覧を記載します。
モード | 説明 | プロンプト表示 | 下位からの移行コマンド |
---|---|---|---|
ユーザEXECモード | ログイン直後のモード | hostname> | ― |
特権EXECモード | 各種状態確認コマンド、操作コマンドを実行可能 | hostname# | enable |
グローバルコンフィギュレーションモード | 設定変更を行うモード | hostname(config)# | configure terminal |
各機能のコンフィギュレーションモード | 特定の機能の設定変更を行うモード | hostname(config-●●)# | 機能ごとに異なる |
図でモード間の関係を表すと以下のようになります。

ユーザEXECモードは CLI にログインした直後のモードです。このモードでできることはほとんど無く、このモードで何か作業を行うことはありません。
特権EXECモードでは、機器の状態や情報を表示する show コマンドの実行、フラッシュに保存されているファイルの操作、機器の再起動の実行などを行うことができます。
グローバルコンフィギュレーションモードでは機器の設定変更を行うことができます。グローバルコンフィギュレーションモードでは機器全体の動作に関わるグローバルコンフィグ項目を設定できます。
各機能のコンフィギュレーションモードでは対象機能の設定変更を行うことができます。インターフェース、ルーティングプロセス、リモートアクセス用の line 設定などがあります。
初期起動から設定変更までの流れ
工場出荷状態(初期状態)の Cisco 機器を起動してから設定変更するまでの流れを説明します。
機器起動前に作業PCにて Tera Term を使用して機器にコンソール接続します。
機器に電源を投入します(電源ケーブルを接続)。電源スイッチが付いている機器の場合は電源スイッチをONにします。その後コンソール接続した Tera Term 画面にて起動ログが表示されることを確認します。
ROM: Digitally Signed Production Software
C891FJ-K9 platform with 524288 Kbytes of main memory
Main memory is configured to 32 bit mode
Upgrade ROMMON initialized
IOS Image Load Test
___________________
Digitally Signed Production Software
Self decompressing the image : ####################
(以下略)
機器の起動が完了すると、以下のようにコンフィグレーションダイアログに入るかどうかの確認メッセージが表示されます。
--- System Configuration Dialog ---
Would you like to enter the initial configuration dialog? [yes/no]:
Cisco 機器構築案件においてコンフィギュレーションダイアログを使用して設定を行うことは無いため、コンフィギュレーションダイアログはキャンセルします。上記のメッセージ例の場合は「no」を入力します。すると、以下のように「Press RETURN to get started!」と表示されます。
--- System Configuration Dialog ---
Would you like to enter the initial configuration dialog? [yes/no]: no
Press RETURN to get started!
この状態でエンターキーを押下すると、ログが表示された後にユーザEXECモードになります。
Press RETURN to get started!
*Jan 2 00:00:01.007: %IOS_LICENSE_IMAGE_APPLICATION-6-LICENSE_LEVEL: Module name = c800 Next reboot level = advipservices and License = advipservices
(間略)
*May 31 13:48:10.011: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface GigabitEthernet7, changed state to up
Router>
ユーザEXECモードから特権EXECモードへ移行します。「enable」と入力します。
Router>enable
Router#
特権EXECモードからグローバルコンフィギュレーションモードへ移行します。「configure terminal」と入力します。
Router#configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)#
設定変更を行います。ここでは例としてホスト名を変更します。
Router(config)#hostname MyRouter
MyRouter(config)#
設定変更が完了したら特権EXECモードに戻ります。「end」コマンドを実行することで、どのコンフィギュレーションモードからでも直接特権EXECモードに戻ることができます。
MyRouter(config)#end
MyRouter#
特権EXECモードに戻ったら設定を保存します。設定保存コマンドは「write memory」です。
MyRouter#write memory
Building configuration...
[OK][OK]
MyRouter#
以上で設定変更は完了です。
running-config と startup-config
Cisco 機器のコンフィグには running-config と startup-config と呼ばれる2種類のコンフィグがあります。
running-config とは、現在動作中のコンフィグで機器はこのコンフィグに基づいて動作します。running-config は揮発性メモリに保存されるため、機器を停止すると消失します。
startup-config とは、不揮発性メモリに保存されたコンフィグです。Cisco 機器は起動時に startup-config を読み込みその内容を running-config にコピーします。
設定変更を行った場合、その変更は running-config に即座に反映され機器動作も即座に変わります。ただし startup-config には反映されません。このため、機器再起動後も設定変更後のコンフィグで動作させたい場合は設定変更後に 設定保存コマンドを実行する必要があります。設定保存コマンドは write memory または copy running-config startup-config です。
経験上設定保存コマンドとしては write memory の方がよく使われますが、Nexus スイッチでは write memory コマンドが存在しないため copy running-config startup-config コマンドが使われます。
状態確認コマンドの基礎知識
CLI では設定変更を行うだけでなく、機器の状態確認も行われます。Cisco 機器の状態確認コマンドは特権EXECモードで実行できる「show」から始まるコマンドです。
show コマンドには様々なコマンドがありますが、よく使用するコマンドの例を以下の表に記載します。
show コマンド | 出力内容 |
---|---|
show clock | 現在のシステム時刻 |
show version | 稼働中の OS バージョン情報や機種情報 |
show license all | 適用されているライセンス情報 |
show inventory | 機器本体やモジュールのモデルとシリアル情報 |
show environment all | 電源、ファン、温度の状態 |
show running-config | 動作中のコンフィグ内容 |
show startup-config | 保存されたコンフィグ内容 |
show interfaces | 各インターフェースの詳細な状態 |
show interfaces status | スイッチポートの状態のサマリ |
show ip interface brief | 各インターフェースのアドレスと状態サマリ |
show interfaces counters errors | 各インターフェースのエラーカウンタ情報 |
show spanning-tree | スパニングツリーの状態 |
show ip route | ルーティングテーブル |
show logging | システムログ |
show flash: | フラッシュメモリ内の保存ファイル一覧 |
ページ表示を無効化する terminal length 0
デフォルトの設定では、コマンドの出力は1ページ分ずつ表示されます。例えば show running-config コマンドを実行した場合、以下のように1ページ分表示された後「–More–」と表示されて表示が止まります。続きを表示するためにはスペースキーまたはエンターキーを押下する必要があります。
MyRouter#show running-config
Building configuration...
Current configuration : 1618 bytes
!
! Last configuration change at 14:27:17 UTC Thu May 31 1900
!
version 15.9
service timestamps debug datetime msec
service timestamps log datetime msec
no service password-encryption
!
hostname MyRouter
!
boot-start-marker
boot-end-marker
!
!
!
no aaa new-model
!
!
!
!
!
--More--
ここで、特権EXECモードにて「terminal length 0」コマンドを実行することで、このページ表示を無効化し、すべての出力をまとめて表示させることが可能です。
MyRouter#terminal length 0
状態確認を行う際、通常は「terminal length 0」を実行した上で show コマンドを実行します。
「terminal length 0」は現在のセッション限りで有効な設定です。CLI にログインし直すと「terminal length」はデフォルトに戻っているため、再度「terminal length 0」を実行する必要があります。
「terminal length 0」は省略形のコマンド「ter len 0」として実行されることの方が多いといえます。省略形のコマンドからネットワーク業界内では「ターレンゼロ」と呼ばれることが良くあります。
まとめ
- Cisco 機器の CLI のモードにはユーザEXECモード、特権EXECモード、グローバルコンフィギュレーションモード、各機能のコンフィギュレーションモードがある
- 状態確認コマンドは特権EXECモードで、設定変更は各コンフィギュレーションモードで行う
- 状態確認コマンドを実行する前にページ表示を無効化する「terminal length 0」を実行する
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