Catalyst 1300 スイッチで SNMP を設定する
Catalyst 1300 スイッチでの SNMP の設定方法について解説します。
動作確認環境
- Cisco C1300-8T-E-2G
- Version: 4.1.6.54
SNMP 関連設定項目のデフォルト値
Catalyst 1300 スイッチにおける主な SNMP 関連の設定項目とそのデフォルト値を以下表に示します。
| 区分 | 設定項目 | 設定コマンド | デフォルト値 |
|---|---|---|---|
| グローバル | SNMP の有効化 | snmp-server server | 無効 |
| sysContact 情報 | snmp-server contact | なし | |
| sysLocation 情報 | snmp-server location | なし | |
| SNMP トラップ群の包括的な有効化 | snmp-server enable traps | 有効 | |
| SNMP 認証失敗トラップ有効化 | snmp-server trap authentication | 有効 | |
| SNMP トラップソースインターフェース | snmp-server source-interface traps | なし (ルーティング時の 発信インターフェース) | |
| SNMP トラップ送信先ホスト | snmp-server host | なし | |
| SNMP ビュー | snmp-server view | デフォルトで以下が存在 ・Default ・DefaultSuper | |
| インターフェース | リンクステータストラップ生成有効化 | snmp trap link-status | 有効 |
| SNMPv1/v2c | コミュニティ | snmp-server community | なし |
| SNMPv3 | ローカルエンジンID | snmp-server engineID local | 規格に従う |
| リモートエンジンID | snmp-server engineID remote | なし | |
| SNMP ユーザ | snmp-server user | なし | |
| その他 | 機能別 のトラップ有効化設定 | 機能毎のマニュアル参照 | - |
グローバルの SNMP 設定
SNMP の有効化
Catalyst 1300 では SNMP 機能はデフォルトで無効になっているため、まず SNMP 機能を以下コマンドで有効化する必要があります。
- (config)# snmp-server server
C1300-8T(config)#snmp-server serverこの設定を有効にすると SNMP マネージャからの SNMP Get 等のリクエストを受け付けることができるようになります。なお、この設定はSNMP トラップの動作には影響しません。
sysContact、sysLocation の設定
sysContact、sysLocation はデフォルトでは無しです。必要な場合それぞれ以下コマンドで設定します。
- (config)# snmp-server contact <テキスト>
- sysContact を<テキスト>部分に160文字以内で指定して設定
- 半角スペースを含む場合はダブルクォーテーション「"」で文字列を囲う必要がある
- (config)# snmp-server location <テキスト>
- sysLocation を<テキスト>部分に160文字以内で指定して設定
- 半角スペースを含む場合はダブルクォーテーション「"」で文字列を囲う必要がある
以下はそれぞれの設定例です。
C1300-8T(config)#snmp-server contact "sample contract"
C1300-8T(config)#snmp-server location "sample location"SNMP トラップの有効化【包括的有効化/SNMP認証/リンクステータス】
Catalyst 1300 の SNMP 関連コマンドでは、トラップについて以下の 3 つを設定できます。
- 標準的に生成するトラップ群を包括的に有効化
- SNMP 認証失敗時のトラップの有効・無効の設定
- インターフェース別のリンクステータストラップ
①と②は互いに独立して設定できます。
IOS 搭載の Catalyst スイッチでは機能別に細かくトラップの有効・無効を設定することができますが、Catalyst 1300 では機能別のトラップの有効・無効の設定はそれほど多くはできません。
デフォルトでは上記①②③のすべてが有効になっています。それぞれの設定コマンドは以下の通りです。
- (config)# snmp-server enable traps
- C1300 が標準的に生成するトラップ群を包括的に有効化する設定
- SNMP 認証失敗など、一部の通知は別設定で個別に有効化・無効化できる
- (config)# snmp-server trap authentication
- SNMP 認証失敗トラップ有効化コマンド
- (config-if)#snmp trap link-status
- 対象インターフェースでのリンクステータストラップ有効化コマンド
以下は標準的に生成するトラップ群を包括的に有効化し、SNMP 認証失敗トラップのみ無効化する場合の設定例です。
C1300-8T(config)#snmp-server enable traps
C1300-8T(config)#no snmp-server trap authentication以下は標準的に生成するトラップ群については無効化し、SNMP 認証失敗トラップは有効化する場合の設定例です。
C1300-8T(config)#no snmp-server enable traps
C1300-8T(config)#snmp-server trap authentication以下はインターフェース GigabitEthernet1 にてリンクステータストラップを無効化する設定例です。
C1300-8T(config)#interface GigabitEthernet1
C1300-8T(config-if)#no snmp trap link-statussnmp-server enable traps で有効になるトラップ
snmp-server enable traps は、特定のトラップを個別に選択して有効化するコマンドではなく、Catalyst 1300 がサポートする SNMP トラップ全体の送信可否を制御するコマンドです。
ただし、Catalyst 1300 がサポートするトラップの完全な一覧は、Cisco の CLI ガイドや管理者ガイドには掲載されていません。
Cisco Small Business TAC へ確認したところ、少なくとも Catalyst 9200L 等の IOS-XE 機器における以下に相当するトラップは Catalyst 1300 でサポートされているとの回答を得ています。
- SNMP authenticationFailure
- warmStart
- coldStart
- linkDown
- linkUp
- envmon 相当の環境監視関連トラップ
- errdisable 関連トラップ
なお、TAC からは、Catalyst 1300 がサポートするトラップの一覧を示す公開ドキュメントは存在しないとの回答も得ています。
このため、snmp-server enable traps により有効になるトラップの完全な範囲については、公開されているドキュメントだけでは確認できません。
上記以外のトラップを要件とする場合は、実機での動作確認または Cisco への個別確認が必要です。
機能別のトラップ設定
SNMP 設定としてではなく、いくつかの特定機能の設定の中でトラップ送信を有効化することができます。詳しくは各機能のCLIガイドまたは管理者ガイドを確認してください。
| 分類 | 送信される条件 | 設定コマンド | デフォルト | 設定階層 |
|---|---|---|---|---|
| LLDP 通知 | LLDP 隣接情報の追加、削除、変更 | lldp notifications enable | 無効 | Ethernet インターフェース |
| LLDP-MED トポロジ変更 | LLDP-MED 対応端末の接続状態やトポロジが変化 | lldp med notifications topology-change enable | 無効 | Ethernet インターフェース |
| PoE | PoE 使用電力や給電状態に関する通知 | power inline traps enable | 無効 | グローバル |
| ストーム制御 | 設定したブロードキャスト、マルチキャスト、未知ユニキャストのしきい値到達 | storm-control ... trap | 無効 | Ethernet インターフェース |
| ポートセキュリティ | 未学習送信元 MAC アドレスなど、設定した違反動作が発生 | port security ... trap seconds | 無効 | Ethernet インターフェース |
| 802.1X 違反 | 認証済みポートで、認証端末以外の MAC アドレスからフレームを受信 | dot1x violation-mode ... trap seconds | 条件付き | Ethernet インターフェース |
| 802.1X サプリカント認証失敗 | C1300 自身がサプリカントとして認証に失敗 | dot1x supplicant traps authentication failure | 無効 | グローバル |
| 802.1X サプリカント認証成功 | C1300 自身がサプリカントとして認証に成功 | dot1x supplicant traps authentication success | 無効 | グローバル |
| クライアント認証失敗 | 802.1X、MAC 認証、Web 認証に失敗 | dot1x traps authentication failure ... | 無効 | グローバル |
| クライアント認証成功 | 802.1X、MAC 認証、Web 認証に成功 | dot1x traps authentication success ... | 無効 | グローバル |
| 認証 Quiet 状態 | 最大連続認証失敗回数に達し、クライアントが Quiet 状態に移行 | dot1x traps authentication quiet | 無効 | グローバル |
| 組み込み RADIUS アカウンティング | 組み込み RADIUS サーバーのアカウンティング事象 | radius server traps accounting | 無効 | グローバル |
| 組み込み RADIUS 認証成功 | 組み込み RADIUS サーバーでユーザー認証に成功 | radius server traps authentication success | 無効 | グローバル |
| RMON イベント | RMON アラームなどから、指定したイベントが発生 | rmon event ... trap または log-trap | イベント未作成 | グローバル |
| Dying Gasp | 電源喪失を検出し、完全停止前に通知 | dying-gasp enable ... | 無効 | グローバル |
SNMP トラップのソースインターフェースの設定
SNMP トラップ送信時のソースインターフェース (ソースアドレス) は、デフォルトでは送信先へルーティング時の発信インターフェースとなります。
明示的にソースインターフェースを指定して固定したい場合は以下コマンドで設定します。
- (config)# snmp-server source-interface traps <インターフェース名>
以下はソースインターフェースを Vlan2 にする場合の設定例です。
C1300-8T(config)#snmp-server source-interface traps Vlan2SNMP トラップ送信先ホストの設定
SNMP トラップの送信先ホストの設定はバージョンによってオプションが異なりますが、良く使うであろうバージョン 1/2c の場合は以下コマンドで設定します。
- (config)# snmp-server host <IPアドレス> traps version <1|2c> <コミュニティ>
- <IPアドレス>:トラップ送信先ホストの IP アドレスを指定
- <1|2c>:使用する SNMP バージョンを 1 か 2c から指定
- <コミュニティ>:コミュニティ文字列を指定
以下はトラップ送信先を 10.2.1.33、SNMP バージョンを 2c、コミュニティを「mycommunity」と設定する場合の設定例です。
C1300-8T(config)#snmp-server host 10.2.1.33 traps version 2c mycommunityその他オプションとして以下を指定することもできます。
- udp-port
- 宛先 UDP ポート番号を指定
- filter
- フィルタの指定
- timeout
- trap ではなく inform 指定の場合のみ。inform 再送信までのタイムアウト時間
- retries
- trap ではなく inform 指定の場合のみ。応答がない場合の要求再送信の最大回数
SNMP トラップ送信先ホストは2つ以上設定することが可能です。複数設定する場合は設定コマンドを複数回投入します。
SNMPv1/v2c 関連の設定
コミュニティの設定
SNMP マネージャからのリクエストを受け付ける際に使用するコミュニティは以下コマンドで設定します。
- (config)# snmp-server community <コミュニティ> <ro|rw> [<IPアドレス>] [view <ビュー名>]
- <コミュニティ>:コミュニティ文字列を指定
- <ro|rw>:権限を指定。ro ⇒ 読み取り専用、rw ⇒ 読み書き可能
- <IPアドレス>:オプション。SNMP マネージャの IP アドレスを指定。指定した場合、指定したアドレスからのリクエストのみ許可される
- view <ビュー名>:オプションでビューを指定。指定しない場合デフォルトで存在するビューである「Default」が設定される
以下はトラップ送信先を 10.2.1.33、SNMP バージョンを 2c、コミュニティを「mycommunity」と設定する場合の設定例です。
C1300-8T(config)#snmp-server community mycommunity ro 10.2.1.33一つのコミュニティに対して複数の IP アドレスを設定したり、コミュニティを2つ以上設定したりすることが可能です。複数設定する場合は設定コマンドを複数回投入します。
コミュニティ設定を削除する場合、設定コマンドとは異なり権限部分は含めず、かつアドレス部分までを含めた以下のコマンドとする必要があるため注意してください。
- (config)# snmp-server community <コミュニティ> <IPアドレス>
- ro/rw の権限部分を含めるとエラーとなり削除ができないため注意
SNMP 関連の show コマンド
- # show snmp
- SNMP 有効状態、ソースインターフェース、コミュニティ、トラップ送信先ホストの設定内容などを表示
C1300-8T#show snmp
SNMP is enabled.
SNMP traps Source IPv4 interface: vlan 2
SNMP informs Source IPv4 interface:
SNMP traps Source IPv6 interface:
SNMP informs Source IPv6 interface:
Community-String Community-Access View name IP address Mask
-------------------- ------------------ -------------- ------------ ------------
mycommunity read only Default 10.2.1.33
mycommunity read only Default 10.2.1.34
mycommunity2 read only Default 10.2.1.33
Community-String Group name IP address Mask Version Type
------------------ ------------ ---------------- ---------------- ------- ------
Traps are enabled.
Authentication-failure trap is enabled.
Version 1,2 notifications
Target Address Type Community Version Udp Filter To Retries
Port name Sec
---------------- -------- ----------- ---------- ----- ------- ----- ---------
10.2.1.33 Trap mycommunity 2 162 0 0
10.2.1.34 Trap mycommunity 2 162 0 0
10.2.1.35 Trap mycommunity 2 162 0 0
10.2.1.36 Trap mycommunity 2 162 0 0
10.2.1.37 Trap mycommunity 2 162 0 0
10.2.1.38 Trap mycommunity 2 162 0 0
10.2.1.39 Trap mycommunity 2 162 0 0
10.2.1.40 Trap mycommunity 2 162 0 0
Version 3 notifications
Target Address Type Username Security Udp Filter To Retries
Level Port name Sec
---------------- -------- ----------- -------- ----- ------- ----- ---------
System Contact: sample contract
System Location: sample location- # show snmp views
- ビュー一覧を表示
C1300-8T#show snmp views
Name OID Tree Type
------------------- ------------------------- --------
Default iso included
Default snmpNotificationMIB excluded
Default snmpVacmMIB excluded
Default snmpCommunityMIB excluded
Default snmpTargetAddrTable excluded
Default snmpTargetParamsTable excluded
Default usmUser excluded
Default rlSNMPv3 excluded
Default rndCommunityTable excluded
DefaultSuper iso included- # show snmp engineid
- ローカル SNMP エンジンIDを表示
- # show snmp filters
- SNMP フィルタを表示
- # show snmp groups
- SNMP グループを表示
- # show snmp users
- SNMP ユーザを表示
参考資料
Cisco Catalyst 1300 スイッチ関連記事一覧
- 基礎知識
- 管理系設定
- インターフェース
- スパニングツリー
- ルーティング
- アクセス制御
- QoS
- その他機能
- ログ取得用 Tera Termマクロ
- 参考資料
- Catalyst 1300 管理者ガイド
- Catalyst 1300 管理者ガイド (日本語版)
- Cisco Catalyst 1300 Administration Guide (英語版)
- ※英語版の方が先行して更新されているようです
- Catalyst 1300 CLI ガイド
- Cisco Catalyst 1300 スイッチ シリーズ CLI ガイド (日本語版)
- Cisco Catalyst 1300 Switches Series CLI Guide (英語版)
- ※英語版の方が先行して更新されているようです。日本語版には一部誤植があることを確認しています
- Cisco Catalyst 1300 シリーズプロダクトサポートページ
- Cisco Small Business TAC 連絡先
- Cisco Catalyst 1300 シリーズ スイッチ データシート
- Catalyst 1300 管理者ガイド
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