Catalyst 1300 ではスタティックルーティングが可能
Catalyst 1300 スイッチでは VLAN 間のスタティックルーティングが可能です。ここでは Catalyst 1300 スイッチにおけるスタティックルートの設定方法を説明します。
動作確認環境
- Cisco C1300-8T-E-2G
- Version: 4.1.6.54
スタティックルート設定の前準備
L3SWの一般的な話ですが、スタティックルートの設定を行うためには以下のような設定をあらかじめしておく必要があります。
- 必要な Vlan ID の作成
- ルーティングのゲートウェイとなる SVI (interface vlan) の作成、及び IP アドレス設定
- ip routing の有効化
Vlan ID の作成
Vlan ID の作成は一般的な Catalyst スイッチと同じ以下コマンドで設定できます。
- (config)#vlan <ID>
- <ID>:作成する Vlan の ID
- ID はカンマ「,」区切りで複数指定が可能、ハイフン「-」区切りで範囲指定が可能
switchcdebd2(config)#vlan 2
switchcdebd2(config)#vlan 10-20
switchcdebd2(config)#vlan 100,105
SVI (interface vlan) の作成、及び IP アドレス設定
SVI の作成は一般的な Catalyst スイッチと同じ以下コマンドで設定できます。
- (config)#interface vlan <Vlan ID>
- <Vlan ID>:作成する SVI の Vlan ID
上記コマンドを実行すると SVI が作成されると同時にインターフェースコンフィギュレーションモードに移行します。
switchcdebd2(config)#interface vlan 2
switchcdebd2(config-if)#
SVI の IP アドレスについても一般的な Catalyst スイッチと同じ以下コマンドで設定できます。
- (config-if)#ip address <アドレス> <サブネットマスク>
switchcdebd2(config)#interface vlan 2
switchcdebd2(config-if)#ip address 10.2.1.3 255.255.255.0
ip routing の有効化
一般的な L3 の Catalyst スイッチと同様に、ルーティングを行うためには「ip routing」が有効である必要があります。Catalyst 1300 ではデフォルトで「ip routing」が有効になっています。有効/無効を切り替えたい場合は以下のコマンドで設定します。
- (config)#ip routing
- 有効化コマンド
- (config)#no ip routing
- 無効化コマンド
switchcdebd2(config)#ip routing
switchcdebd2(config)#no ip routing
Catalyst 1300 では「ip routing」が有効の場合はコンフィグ上で「ip routing」は表示されません。
スタティックルート設定方法
上の事前設定が完了したらスタティックルートを設定します。
デフォルトルート(デフォルトゲートウェイ)の設定
デフォルトルートは次に説明するスタティックルートの形式で設定することも可能ですが、コンフィグ上では以下のデフォルトゲートウェイの形式で表示されます。
- (config)#ip default-gateway <ゲートウェイアドレス>
switchcdebd2(config)#ip default-gateway 10.1.1.2
スタティックルートの設定
Catalyst 1300 でのスタティックルートの設定コマンドは一般的な L3 Catalyst スイッチと同じ「ip route」ですが、コマンドの構文や設定可能なオプションが異なります。
まず最もシンプルな基本形の設定構文は以下の通りです。
- (config)#ip route <宛先アドレス> /<プレフィックス長> <ネクストホップ>
- または
- (config)#ip route <宛先アドレス> <サブネットマスク> <ネクストホップ>
- 宛先アドレスはプレフィックス長形式とサブネットマスク形式のどちらでも設定可能
- コンフィグ上ではプレフィックス長形式で表示される
switchcdebd2(config)#ip route 192.168.179.0 /24 10.1.1.2
switchcdebd2(config)#ip route 192.168.179.0 255.255.255.0 10.1.1.2
スタティックルートにはオプションで metric を指定することができます。
- (config)#ip route <宛先アドレス> /<プレフィックス長> <ネクストホップ> metric <1-255>
- または
- (config)#ip route <宛先アドレス> <サブネットマスク> <ネクストホップ> metric <1-255>
- metric がより小さいルートが優先される
- metric の範囲は 1- 255。デフォルトでは「4」
switchcdebd2(config)#ip route 192.168.179.0 /24 10.1.1.2 metric 10
指定宛先のルーティングからの除外
スタティックルートの「reject-route」オプションを指定することで、指定の宛先のみルーティングさせないことが可能です。該当の宛先へのパケットを受信した場合、送信元へ Type 3 (Destination unreachable) Code 0 (Network unreachable) の ICMP が返されます。
- (config)#ip route <宛先アドレス> /<プレフィックス長> reject-route
- または
- (config)#ip route <宛先アドレス> <サブネットマスク> reject-route
switchcdebd2(config)#ip route 1.2.3.4 /32 reject-route
AD値、出力インターフェースの指定はできない
Catalyst 1300 ではスタティックルートの AD 値 (アドミニストレーティブディスタンス) や出力インターフェースの指定はできません。AD 値は固定でデフォルトの「1」となります。
ルーティングテーブル確認コマンド
ルーティングテーブルの確認は「show ip route」コマンドで行います。
- #show ip route
switchcdebd2#show ip route
Maximum Parallel Paths: 1 (1 after reset)
IP Forwarding: enabled
Codes: > - best, C - connected, S - static
R - RIP
S 0.0.0.0/0 [1/4] via 10.1.1.2, 02:26:07, vlan 1
S 1.1.1.1/32 [1/4] via 10.1.1.2, 00:52:12, vlan 1
S 1.2.3.4/32 is rejected
S 8.8.8.8/32 [1/4] via 10.1.1.2, 02:25:33, vlan 1
C 10.1.1.0/24 is directly connected, vlan 1
C 10.2.1.0/24 is directly connected, vlan 2
S 192.168.179.0/24 [1/10] via 10.1.1.2, 00:11:09, vlan 1
「reject-route」設定によりルーティングから除外された宛先についてはルーティングテーブル上では以下のように表示されます。
S 1.2.3.4/32 is rejected
【参考】GUI でのスタティックルート設定
GUI でスタティックルートの設定を行う場合、「IPv4 設定 > IPv4 スタティックルート」の画面から可能です。

以下はスタティックルート追加画面です。

参考資料
- Cisco Catalyst 1300 スイッチ シリーズ CLI ガイド
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