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Cisco ルータのバージョンアップ方法を説明します

目次

この記事について

この記事では、Cisco システムズ社製のルータの OS バージョンアップ方法を説明します。

動作確認環境

この記事では以下の機種を使用して動作確認しています。

  • Cisco C891FJ-K9 サービス統合ルータ

Cisco ルータの起動 OS についての基礎知識

Cisco ルータでは以下の優先順位で起動 OS が決定されます。

  • boot system設定がされている場合、この設定で指定されている OS で起動する
  • boot system設定がされていない場合、フラッシュメモリに格納されている OS ファイルの内、ファイルリスト(show flash:における表示)の一番上に位置する OS で起動する

この優先順位を把握した上でバージョンアップを行ってください。

対象機種の例

この記事では以下のような機種のルータを対象としています。

  • Cisco ISR 890 シリーズ
  • Cisco ISR 900J シリーズ
  • Cisco ISR 1100 シリーズ
  • Cisco ASR 1000 シリーズ

【注意】Cisco Catalyst 8000 シリーズルータは別の仕組み

Cisco Catalyst 8000 シリーズルータでバージョンが 17.7.1a 以降の場合はインストールモードと呼ばれる仕組みのため、この記事のバージョンアップ方法の対象外です。詳しくは以下の Cisco ドキュメントを確認してください。

【注意】IOS XE 17.15.1a 以降はすべての機種でインストールモード

例えば現在最もよく使われる中小規模向けルータである Cisco ISR 1100 シリーズルータは IOS XE 搭載ルータですが、従来は OS 起動モードはバンドルモード(フラッシュに一つのOSファイルを格納し、それが起動時に展開されるモード。本記事で説明する方式。)でした。しかし IOS XE 17.15.1a 以降はインストールモードに変更となっています。これは ISR 1100 シリーズに限らずすべての機種でそうなるようです。

インストールモードは現在最も良く導入されている Catalyst スイッチである Catalyst 9000 シリーズスイッチと同様の方式であり、OS バージョン変更方法も Catalyst 9000 シリーズと同様になります。

ISR 1100 シリーズルータのインストールモードによるバージョン変更方法について詳しくは以下ドキュメントを参照してください。

Cisco
Cisco 1000 Series Integrated Services Router Software Configuration Guide Cisco 1000 Series Integrated Services Router Software Configuration Guide

Catalyst 9000 シリーズスイッチのバージョン変更方法については以下記事を参照してください。

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バージョンアップの事前準備

バージョンアップを実施する前に必要な準備について説明します。

新バージョンの OS ファイルを入手

バージョンアップのためには新しいバージョンの OS ファイルが必要です。以下の記事に記載の方法で新しいバージョンの OS ファイルを入手してください。

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FTP/TFTP サーバの準備

Cisco 機器をバージョンアップするためには、新バージョンの OS ファイルを格納した FTP または TFTP サーバを用意し、対象機器にて FTP/TFTP サーバから OS ファイルをコピーする必要があります。このため、FTP または TFTP サーバを用意し、対象機器とネットワーク接続する必要があります。

この記事では以下のようなネットワーク構成でバージョンアップを行います。

FTP/TFTPサーバは、作業用の Windows PCにフリーソフトの 3CDaemon や Serve をインストールすることで簡単に用意できます。

TFTP よりも FTP の方が転送速度が速いため、FTP を使用することをおすすめします。

Cisco ルータのバージョンアップ手順

事前準備ができたら以下の手順でルータのバージョンアップを行います。

以下では従来の方式であるバンドルモードにおけるバージョンアップ手順を説明しています。

以下の手順では OS 格納先を flash: として説明していますが、機種によっては bootflash: となる場合もあるため、対象機器の CLI ヘルプにて確認してください。

STEP
IP アドレス設定

FTP/TFTP サーバと接続するための IP アドレスを設定します。

この記事では FTP サーバのアドレスを 192.168.100.2/24、ルータのアドレスを192.168.100.1/24と設定することにしています。

interface Vlan1
 ip address 192.168.100.1 255.255.255.0

設定後、FTP/TFTP サーバのアドレス宛に ping を実行し疎通できることを確認します。

Router#ping 192.168.100.2
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.100.2, timeout is 2 seconds:
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 1/1/1 ms
STEP
フラッシュメモリ内容を確認

show flash:コマンドを実行し、現状フラッシュメモリ内に格納されている OS ファイルを確認します。また、十分な空き容量 (転送する OS ファイルより大きいこと) があることを確認します。

Router#show flash:
-#- --length-- -----date/time------ path
1            0 Nov 6 2022 01:48:00 +00:00 managed
2            0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/odm
3        21341 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/odm/cg-dm.odm
4        21341 Nov 6 2022 01:48:06 +00:00 managed/odm/cg-nms.odm
5        21341 Nov 6 2022 01:48:08 +00:00 managed/odm/cg-dm-1.0.odm
6        21341 Nov 6 2022 01:48:10 +00:00 managed/odm/cg-nms-1.0.odm
7            0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/scripts
8         3235 Nov 6 2022 01:48:08 +00:00 managed/scripts/cg-nms-scripts.tcl
9         3235 Nov 6 2022 01:48:10 +00:00 managed/scripts/cg-nms-scripts-1.0.tcl
10           0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/reprovision
11           0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 eem
12    97206388 Nov 6 2022 01:40:36 +00:00 c800j-universalk9-mz.SPA.158-3.M9.bin
13          35 May 29 2028 04:20:56 +00:00 pnp-tech-time
14       76888 May 29 2028 04:21:08 +00:00 pnp-tech-discovery-summary

159080448 bytes available (97423360 bytes used)

上の出力例では14行目より OS ファイルとして「c800j-universalk9-mz.SPA.158-3.M9.bin」のみ存在することが確認できます。また18行目より 159080448 バイト(約160MB)の空きがあり、追加予定の新 OS ファイル(約97MB)を格納する空きがあることを確認できます。

STEP
FTP/TFTP サーバからフラッシュメモリへの OS ファイルのコピー

特権モードにて以下コマンドを実行し、FTP または TFTP サーバからフラッシュメモリへ新 OS ファイルをコピーします。

copyコマンド(FTP利用時)
  • copy ftp://<ftpユーザ名>:<ftpパスワード>@<ftpサーバアドレス>/<OSファイルパス> flash:
Router#copy ftp://user01:user01@192.168.100.2/c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin flash:
Destination filename [c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin]? ★←Enterを押下
Accessing ftp://*:*@192.168.100.2/c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin...
Loading c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
[OK - 97442740/4096 bytes]

97442740 bytes copied in 99.656 secs (977791 bytes/sec)
copyコマンド(TFTP利用時)
  • copy tftp://<tftpサーバアドレス>/<OSファイルパス> flash:
Router#copy tftp://192.168.100.2/c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin flash:
Destination filename [c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin]?
Accessing tftp://192.168.100.2/c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin...
Loading c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin from 192.168.100.2 (via Vlan1): !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
[OK - 97442740 bytes]

97442740 bytes copied in 253.000 secs (385149 bytes/sec)

コピー完了後、show flash:コマンドでフラッシュメモリ内に OS ファイルがコピーされていることを確認します。

Router#show flash:
-#- --length-- -----date/time------ path
1            0 Nov 6 2022 01:48:00 +00:00 managed
2            0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/odm
3        21341 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/odm/cg-dm.odm
4        21341 Nov 6 2022 01:48:06 +00:00 managed/odm/cg-nms.odm
5        21341 Nov 6 2022 01:48:08 +00:00 managed/odm/cg-dm-1.0.odm
6        21341 Nov 6 2022 01:48:10 +00:00 managed/odm/cg-nms-1.0.odm
7            0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/scripts
8         3235 Nov 6 2022 01:48:08 +00:00 managed/scripts/cg-nms-scripts.tcl
9         3235 Nov 6 2022 01:48:10 +00:00 managed/scripts/cg-nms-scripts-1.0.tcl
10           0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/reprovision
11           0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 eem
12    97206388 Nov 6 2022 01:40:36 +00:00 c800j-universalk9-mz.SPA.158-3.M9.bin
13          35 May 29 2028 15:34:10 +00:00 pnp-tech-time
14       61809 May 29 2028 15:34:14 +00:00 pnp-tech-discovery-summary
15    97442740 May 29 2028 15:48:16 +00:00 c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin

61648896 bytes available (194854912 bytes used)

上の出力例では17行目(#15)に「c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin」がコピーされたことを確認できます。

STEP
【オプション】使わなくなる OS ファイルの削除

バージョンアップ後に使わなくなるフラッシュ内の OS ファイルは、誤って古い OS ファイルで起動することを防止するために削除することが一般的です。

フラッシュ内の OS ファイルの削除は特権モードにて以下コマンドで行います。

フラッシュ内の OS ファイルの削除
  • delete flash:<古いOSファイル名>
Router#delete flash:c800j-universalk9-mz.SPA.158-3.M9.bin
Delete filename [c800j-universalk9-mz.SPA.158-3.M9.bin]?
Delete flash:/c800j-universalk9-mz.SPA.158-3.M9.bin? [confirm]

削除後、show flash:コマンドで古い OS ファイルが削除されていることを確認します。

Router#show flash:
-#- --length-- -----date/time------ path
1            0 Nov 6 2022 01:48:00 +00:00 managed
2            0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/odm
3        21341 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/odm/cg-dm.odm
4        21341 Nov 6 2022 01:48:06 +00:00 managed/odm/cg-nms.odm
5        21341 Nov 6 2022 01:48:08 +00:00 managed/odm/cg-dm-1.0.odm
6        21341 Nov 6 2022 01:48:10 +00:00 managed/odm/cg-nms-1.0.odm
7            0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/scripts
8         3235 Nov 6 2022 01:48:08 +00:00 managed/scripts/cg-nms-scripts.tcl
9         3235 Nov 6 2022 01:48:10 +00:00 managed/scripts/cg-nms-scripts-1.0.tcl
10           0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 managed/reprovision
11           0 Nov 6 2022 01:48:04 +00:00 eem
13          35 May 29 2028 15:34:10 +00:00 pnp-tech-time
14       61809 May 29 2028 15:34:14 +00:00 pnp-tech-discovery-summary
15    97442740 May 29 2028 15:48:16 +00:00 c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin

158859264 bytes available (97644544 bytes used)

STEP
【オプション】boot system 設定の追加

boot system設定は、起動時に使用する OS ファイルを指定する設定です。フラッシュ内に複数の OS ファイルが存在する場合に、指定した OS ファイルで起動させるために設定します。フラッシュ内に OS ファイルが一つのみ存在する場合はboot system設定の有無に関係無く起動時に使用される OS ファイルは一意のためこの設定は不要です。

boot system 設定コマンド
  • boot system flash:<OSファイル名>
Router(config)#boot system flash:c800j-universalk9-mz.SPA.159-3.M10.bin

設定後は設定の保存を行います。

Router01#write memory
Building configuration...
[OK][OK]

一般的には Cisco ルータ構築案件ではフラッシュ内の不要な OS ファイルを削除した上で出荷するため、筆者としては通常はboot system設定をする必要は無いと考えています。

STEP
再起動の実行

reloadコマンドで再起動を行います。

Router#reload
Proceed with reload? [confirm]

再起動後show versionコマンドを実行して、新バージョンで動作していることを確認します。

Router#show version
Cisco IOS Software, C800 Software (C800-UNIVERSALK9-M), Version 15.9(3)M10, RELEASE SOFTWARE (fc1)
Technical Support: http://www.cisco.com/techsupport
Copyright (c) 1986-2024 by Cisco Systems, Inc.
Compiled Thu 01-Aug-24 14:07 by mcpre

ROM: System Bootstrap, Version 15.4(1r)T1, RELEASE SOFTWARE (fc1)

#以下略

以上でバージョンアップは完了です。

参考資料・関連資料


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